第7話『”お菓子か破壊か?”破壊者deハロウィン・準備編』3

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さて収穫後。ちゃぶ台にて、破壊者会議が催されました。
指南役は当然アルベルトです。

ア「全員収穫祭を知らないとは…驚きですね。
  ――ハロウィンと言えば、少しは分かり易いでしょうか?」
ル「名前くらいは聞いた事があるけど?」
セ「カボチャのお祭りですね」
ユ「
カボチャは煮付けにするとウマイ!
ア「……(ため息)」
突然ですが。
アルベルト先生の、出張学術指南★

(読み飛ばし可)

ア「何をします?」

「先生〜!ハロウィンって何ですか?」

 「語源は 『神聖な』を意味するHallowに、『夜』… eveningを短縮・変形した、eenが加わったものです。
元々はキリスト教における万聖節…聖人達を記念する祝日である、11月1日の前夜祭でした。
古代ケルトが起源で、
秋の収穫を祝い悪霊を追い出す祭りとされています。
最も今は、その宗教的意味合いはほとんど失なわれているようですが…

 夜に怪物や魔女に仮装した子供たちが(最近では漫画などの御贔屓キャラクターなどもアリだそうで。
こうなると最早仮装というより
コスプレだと思うのですが、これは余談です)
Trick or treat! (お菓子くれないと悪戯しちゃうよ!)と近所を回り菓子を貰うのも有名ですね。
(ちなみにここの管理人はかつて、ハロウィン当日に山の手線内で、仮装した海外の
大人の皆さん
団体を目撃したそうです。御本人達は大変楽しそうでしたが、
管理人は
あらゆる意味で複雑な気分に駆られたとか。ああ、これも余談ですね)

 ちなみに、ハロウィンの象徴でもある、例のカボチャ提灯は「ジャックランタン」と呼ばれています。

 最近は日本でも、関連イベントや商品を見かけるようになりましたが、すっかり定着しているクリスマスやバレンタイン等に比べると、まだまだマイナーな感は否めません。

 ところで、
神が存在しない(=宗教が無い)幻水世界に於いては、
そもそもハロウィンそのものが成立しないんじゃないか?という指摘は、シルバーバーグの名のもと、
闇に葬らせて頂きますのでそのおつもりで」

ア「……ざっとこんな所ですが。何かご質問は?」
ユ「
長い!あやうく寝るところだ!」
ア「……それは失礼」
ユ「とにかく、オレはそんな
コスプレ祭りに興味は無い!」
ア「いや、重要なのはそこでは無いぞ、ユーバー。
  
(そもそもコスプレじゃなくて仮装なんだが)

どうやら人外は
中途半端に説明を聞いていた模様です。
ル「僕も”こすぷれ”は御免だな」
ユ「そうだろう!めずらしく意見が合ったな!」
ア「……いやですから、重要なのはそこではなくてですね…

ルックもいまひとつ理解しきれていないようですが
最早アルベルトは訂正する気力が萎えてきている模様です。

と、その時!
セ「コスプレの事はどうでもいいではないですか!」
ア「セラ様!
(だからコスプレでは無いんだが…まあいいか…)

ようやく理解者登場に、アルベルトが安心したのもつかの間。

セ「つまり…ハロウィンは
  
合法的に他人から食料を奪える
  お祭りなのですね!」
ア「……
!?


そんなセラ(裏ボス)の
曲解により。
突如として、破壊者一家に
ハロウィン旋風が吹き荒れる事になりました。

寝所もこの通り、すっかりハロウィンムードに!


先だって人外が買ってきた
禍々しい蝋燭も、この部屋には違和感なく溶け込んでいます。

(居心地の悪いベットルームだな…)
ル「うわ!何コレ!?
セ「うふふふ!ジャックランタンです、ルック様。
  これ無しでハロウィンは始まりませんもの!」
ル「……」

ベット脇を占拠する不気味なカボチャ。
心底邪魔そうなルックと対照的に、セラは大層ご機嫌です。
図らずもセラにやる気を出させてしまったアルベルト。
折を見ては説得を繰り返します。

ア「ですから、仮装して菓子を貰うというのは子どもの話で…
  
いい大人がそのような真似するなど…」
セ「お祭りに老いも若いもないでしょう?」
ア「……」
業を煮やしたアルベルト、ルックに相談をもちかけました。

ア「ルック様から…説得して頂けませんか…。
  私の口からではどうにも…」
ル「――そうしたいところだけどね」
ル「本気になったセラは、止められないと思うよ」
ア「…貴方でも、ですか」
ル「……師匠直伝。筋金入りってところかな。
  こうなった以上、覚悟を決めたら?
  実際家計も助かるんだし」
ア「……」

さすが主夫。小間使い歴15年。
とっくに腹くくってました。
頼みの綱を失ったアルベルト、とうとうユーバーに相談です。
人外に頼るなんて…。
相当追い詰められてますね。

ア「ヤツでも説得は不可能だそうだ。
  こうなっては最早、力技で止めるしかあるまい」
ユ「なんだ?
血祭りか!
ア「いや…それは行き過ぎだが。まあ似たようなものだ。
  お前も
コスプレは嫌だろう?(←もうコスプレで統一したようですね)
ユ「コスプレだか何だか知らんが…
  
ケーキが食えるならやってもいい
ア「
!?

おっと人外。セラから
「菓子がもらえる」という事実を聞き
すっかり目がくらんでました。
役立たずです。
ア「…ケーキくらいいくらでも作ってやる!」
ユ「本当か!?」
ア「ああ。だからあの女を止め…」
ユ「では、”はろうぃん”では
ケーキ以外の菓子
  もらうように気をつけねばな!!」
ア「……」

所詮人外なんてそんなもんです。
万策尽きた天才軍師、最後の悪あがき中です。

ア「しかしセラ様…仮装しようにも衣装の調達が…」
セ「それは全て、私に任せてもらいましょうか」

自信満々のセラ、その翌日には
しっかり仮装衣装を調達してきました。もちろん4人分。
もはや、コスプレ仮装を逃れる術はありません…

>衣装合わせ、開始〜!