■第10話『使用人は見た!2ルックの小間使い日記』3

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唐突に話を始めるレック様。

レ「ルック……昨日今日と、食事は大変美味でした。
  腕を上げましたね」
ル「有難うございます」

お。なんだ。褒めに来たなら、別に邪険にする事も無かったか――
レ「今度は甘いものが食べたいところですね
  パイとか」

前言撤回。
ル「パイ……ですか?」
レ「そうです。作って御覧なさい。貴方ならできます。
  これも修行です

嘘つかないで下さい。
(絶対食いたいだけだこの人――!)
さらにさらに。
あろう事か、チビセラの噂話まで……!

レ「何故か最近、
避けられているような気がするのですが……
  貴方は何か聞いていませんか?」

あ。一応自覚はあったんですね!
ル「……ご自分の胸にお聞きになって下さい

ルック、
とっても慇懃無礼
疑問が解消されず、不機嫌なまま裏庭を闊歩するレック様。
(なんでもいいけどそろそろ着替えませんか?

すると、なんとその行く手に――
あのアレが!(うぎゃー)

いいからさっさと通り過ぎて!という願いむなしく。
レック様、物凄く興味を抱かれた模様です。
レ「たしか……家庭内害虫の一種ですね。
  退治せねばならないのでしょう?」

そうですけどね。
いいから、ルックに任せて下さいってば!

レ「ルックの手を煩わせるまでもありません」

そして、次の瞬間――
ブチッ!グチャッ!!メリッ!!!ぷちっ!!
(うぎゃあああああ!)
レ「なかなか……しぶといですね」

誰か!誰か―!!
この真の紋章使いに、正しいゴキの殺し方
教えてあげてーー!!!
見るにみかねたのか、とうとうルックがやってきました。

ル「どいてください、レックナート様。ここは僕が」
レ「まあ……いくら貴方でも、そう簡単にはいかな――」
ぷしゅーーー。
レ「……それは?」
ル「殺虫剤です。レックナート様」
レ「……新しい魔法ですか?
ル「
スーパーで売ってます

レ「……」
ル「……ここはもういいですから
  いい加減着替えてらしたらいかがですか?」
レ「――わかりました。
  任せましたよ、ルック。
これも修行です

嘘だそれーー!
一通りゴキ退治を終えたルック、
プチ畑から、出来たばかりのエルダーベリーの実を収穫しました。

ル「うん……良い香りだね」
台所に戻ると、学校から帰ってきたチビセラが
レック様の)朝ごはんの片付けをしてくれてました。
ええコや……

ル「おかえりセラ。後は僕がやるよ」
セ「はい!ではこれだけ洗ってしまいますね」
ル「もうすぐおやつにするから、ちょっと待っていて」
さてさて。
採ってきたエルダーベリーと、ベーキングパウダー。
そして、砂糖をしっかりと混ぜ合わせます。
ちょっぴり味見。

ル「うん……こんなもんかな」
それらをまとめて釜戸の中へ。

出来上がったのは……
焼き色と、甘酸っぱい香りが食欲をそそる、
エルダーベリーのパイです!

そういえばさっき、レック様に催促されてましたからね。
レ「まあ……美味しそうなパイ……!」

ようやく着替えてきたレック様、真っ先にパイに飛びつきました。
念願かなって何よりです……。

レ「これも、修行のたまものですね」

それはどうでしょう。
チビセラも、嬉しそうにパイを皿に取ります。

セ「わあ……とてもとてもお上手です!」
その頃既に、ルックの隣はレック様が占領してしまってたので……
向かい側にちょこんと座りました。

セ「ルックさま、いただきます」
ル「うん……焼きたてで熱いから、ヤケドしないようにね」
セ「甘くてサクサクっとして……すごくオイシイです!」
ル「……そう?」
セ「はい!こんなオイシイお菓子、セラは初めてです!」
ル「……フフ」

無邪気に褒められて、ルックもまんざらではないご様子。
この二人はほんと、ほのぼのしてて良いですわ……。
しかし……ルックが席を外すと、
そのほのぼのムードは
一転。
物凄い勢いで不機嫌になるチビセラ。
ああああ…えらいこっちゃ。
マイナス記号点灯しまくり…。

この二人が、打ち解けあう日はくるのでしょうか〜?
今回のプチ日記、元ネタはメッセで語られた「チビセラにケーキを焼いてあげるルックはトキメキ」でした(笑)。
ではでは〜。


さあ、帰ろう。